実は地球そっくりの惑星も見つかっている?(「第二の地球探しの現在と未来」成田 憲保先生)
2025/09/16

みなさんは、宇宙人は存在すると思いますか?

「宇宙はこんなに広いんだから宇宙人はいるよ!」

「いや、でも宇宙人がいたらすでに地球を見つけて何らかの手段で連絡をとってきているだろう」

「いやいや、違うな。もうすでに地球は宇宙人の侵略を受けて乗っ取られているんだ…」

少々過激な意見も聞こえてきましたが(焦)、ともかく宇宙人がいるかどうか探してみないことには始まりませんよね。でも、どうやって探せばいいのでしょうか?

火星に行って探索してみる?たしかにそれも一つの手です。でもできれば地球に似た環境で、我々と同じような生命を見つけられると嬉しいですよね。

実は、科学者たちはすでに動き出しています。太陽系の外にある惑星、すなわち系外惑星の観測は1990年代から行われており、実はすでに6000個ほどの系外惑星が発見されてきています。意外と多いなと感じる方も多いのではないでしょうか!しかし、恒星よりはるかに暗い惑星をはるか遠くの地球からどうやって観測しているのでしょうか?また、その中に生命が存在する可能性のある惑星は見つかっているのでしょうか?

この講義では、系外惑星の観測を専門とする成田先生が、「第二の地球探し」の最前線を分かりやすく説明しています。宇宙人はいるのか?古くから人類が抱いてきたこの疑問に現代科学はどこまで迫れるのでしょうか。系外惑星のフロンティアを、一緒に見ていきましょう!

UTokyo Online Education 高校生と大学生のための金曜特別講座 2021 成田憲保

系外惑星の見つけ方

ではまず初めに、系外惑星観測の現状について見ていきましょう。系外惑星が初めて観測されたのは1995年(実は30年前!)のことで、そこから徐々に増えていき、講義があった2021年時点では4000個以上の系外惑星が発見されています。どんな惑星が見つかったのかも気になるところですが、まずは観測手法に注目してみましょう。

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難しいワードが並んでいますが、年代別の発見数を見てみると、最初は視線速度法(赤色)での発見がメインだったものの、徐々にトランジット法(緑色)をはじめとする他の観測方法が増えていったことが分かります。ここでは講義にならって視線速度法トランジット法、そして直接撮像法の3つの手法について、噛み砕いて説明していきます。

1.視線速度法

一つ目は視線速度法です。惑星は恒星の周りを公転していますが、なぜ恒星を振り切って外に飛んでいかないかというと、重力により恒星に引きつけられているからです。実は同じように恒星自身も惑星の重力により引きつけられており、それによってほんの少しだけ揺すられます。例えるならお相撲さんと子供が綱引きをして、お相撲さんがちょっと揺れるようなものです。

このふらつきを測定することで惑星の存在を間接的に確かめるのが、視線速度法です。

では、どうやって恒星のふらつきを観測するのでしょうか?そのためにはドップラー効果を用います。ドップラー効果とは、音や光といった波を出している対象が動くことで、波の周波数が変化する現象のことを言います。身近な例としては、救急車のサイレンが自分に近づいてくるときには高く、遠ざかるときには低くなることがあります。恒星のふらつきを観測すると、恒星の光の振動数が少し変動します。それを観測するのが、視線速度法です。実は、人が歩く速度(秒速1メートル)より小さい恒星のふらつきも測定することができるそうです。すごいですね。

少し難しかったかもしれませんが、とりあえず恒星が惑星の重力の影響でふらつき、それを検出するのが視線速度法だと覚えてもらえれば大丈夫です。

2.トランジット法

二つ目はトランジット法です。こちらの原理は簡単です。恒星(主星)と惑星のペアが存在していて、たまたま惑星が主星の前を横切ることがあったとします。するとその間、主星が暗くなるため、ここから惑星の存在が確かめられます。これをトランジット法といい、惑星の半径を知ることができます。しかしどんな惑星でも検出できるわけではなく、地球から見てちょうど惑星が主星の前を横切るような位置関係になる必要があります。ちなみに、トランジットとは英語で「通過」という意味です。

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3.直接撮像法

三つ目は直接撮像法です。こちらも原理は簡単で、惑星を直接望遠鏡で観測しよう!というものです。もちろん惑星は自分自身では光らず、恒星の光を反射するだけなので、そのまま観測するには暗すぎます。そのため、観測においては主星の光を隠し、惑星だけを見えるようにするマスクという操作を施す必要があります。直接撮像は前の二つに比べて難しいため、見つかった系外惑星の数も限られています。

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系外惑星を望遠鏡で探す

地球からはるか離れた系外惑星をどのように見つけているのか、なんとなくイメージがつかめたでしょうか?では、具体的にどんな系外惑星が見つかっているのか、これまでの科学者たちの歩みとともに見ていきましょう。

ケプラー衛星

系外惑星探査を目的として打ち上げられた初めての衛星が、NASAのケプラー衛星です。上で説明したトランジット法を用いて、白鳥座付近の10万個以上の恒星を4年にわたって観測し、2015年までに4696個の惑星候補を見つけました。その中でも中心の恒星から程よい距離にあり、水の存在できる生命居住可能領域にある惑星は50個ほど発見されました。つまり、ケプラー衛星により宇宙は地球と同じような惑星で溢れているということがわかったのです。

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ちなみに、望遠鏡の名前にもなっている科学者ケプラーは火星が太陽を中心とした楕円軌道上を運動することを発見した人物で、地動説を広めることに貢献したという点では漫画『チ。ー地球の運動についてー』とも関連が深い人物です。

TESS

しかしケプラー衛星は、太陽系から離れた惑星を観測していたため、観測から生命の痕跡を見つけることが難しいという問題がありました。この問題点を踏まえて、太陽系近傍の系外惑星探査を目的として打ち上げられた衛星が、TESSです。TESSはケプラー衛星よりも観測領域がはるかに広く、2018年の打ち上げ以来、太陽系近傍の恒星を20万個ほど観測してきました。まだ公表されている系外惑星は多くはありませんが、生命居住可能惑星も見つかっています!

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MuSCAT

ここではトランジット法を用いた系外惑星探査に注目しましたが、トランジット法には落とし穴があります。実は、惑星ではなく恒星が横切ることでも減光が起こるのです。これを食連星と言います。食は日食の食と同じ意味です。しかし恒星の場合は自ら光っているため、観測する光の波長によって惑星の場合とは異なる減光の仕方をします。この方法で判別する装置がMuSCAT(ロゴがかわいい!by 執筆者)で、成田先生が大きく関わっているプロジェクトです。講義では組み立ての動画も上がっているので興味のある方はぜひご覧ください。

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まとめ

系外惑星のフロンティア、いかがだったでしょうか?系外惑星の分野はまだまだ発展途上であり、これからますます新しい進展が見込めるホットな分野になっています。講義ではより具体的な系外惑星の情報や観測方法の詳細について説明されているので、興味があればご覧ください!

宇宙人がいるのかどうか、その謎が解ける日は近いかもしれませんね!

<文/近藤圭悟(東京大学学生サポーター)>


今回紹介した講義:2021年度:高校生と大学生のための金曜特別講座 第二の地球探しの現在と未来 成田憲保先生

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