2006年度開講
東京大学公開講座「成熟」
閉塞と成熟―中国明代の詩と小説
大木 康
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中国文学の精華ともいえる古典詩は、唐代あるいは宋代において頂点をきわめてしまったのではないか。明代の詩人は、あたかも今日の文学者のような閉塞感を抱いていたとされる。だが、出版文化の隆盛を背景に、詩が明代に空前の普及を見せたことは、成熟の一つの形であり、さらには『三国志演義』『水滸伝』などの通俗小説が生み出されたのが、この時代である。日本の江戸文学にも深い影響を与えた中国明代の文学作品を材料に、閉塞と成熟について考えてみたい。
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