新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が未だ終息しない中、東大TVのスタッフもリモートワークが中心となり、今までとは違う働き方や新しい生活習慣の構築を模索する日々が続いています。
そこで今回の特集では、スタッフたちが「今、この時だからこそ見たい!」「見てほしい!」動画を紹介いたします!
今までとは違う生活だからこそ、見てほしいもの、気づいたこと、考えてみたくなったこと……
スタッフたちの個性も垣間見えるかもしれない?
動画を、少しでも楽しんでいただければ幸いです!
スタッフおすすめ①:河内 啓二・渡部 勲「風洞実験施設見学ツアー」――2016年度 東大駒場リサーチキャンパス公開
みなさん、「駒場リサーチキャンパス(駒場IIキャンパス)」はご存知ですか?
教養学部がある駒場Iキャンパスから歩いて5分ほどのところにあるキャンパスです。
毎年、「東大駒場リサーチキャンパス公開」が行われますが、残念ながら今年は開催中止となってしまいました。
研究室公開やいろいろなイベントに参加したかったよ……という方におすすめなのが、この動画です。
2016年の「東大駒場リサーチキャンパス公開」で行われた風洞実験施設見学ツアーを収めた動画です。
3m風洞編と発電機・垂直風洞編の2つの動画があります。
風洞だけでなく、自然界の奥の深さにも触れることができます。
日本の航空宇宙工学の歴史の証人とも言える風洞実験施設についての解説を聞いたり、実際に動いている様子を見たりしながら、「東大駒場リサーチキャンパス公開」を体験してみませんか?
(N)
スタッフおすすめ②:三浦 篤「印象派 ―西洋絵画を変えた画家たち」――2011年度 駒場祭公開講座
私事ですが、リモートワーク中の運動不足を解消しようと終業後のウォーキングを始めました。
仕事を終えて外に出ると、この時期はちょうど日没の時間帯で、空の色が大きく変わっていく様子を目の当たりにすることができます。
淡い紫色、明るい朱色、藍色と、いくつもの色が重なった空は、まるで印象派の画家が描いた絵画のよう。
その光の変化は本当に美しく、モネやピサロがそのとりこになった気持ちがわかるような気がしました。
さて、現代に生きる私たちは、こんな風に印象派の絵画を「美しいもの」とみなしていますが、その画風は当時の価値基準からはあまりにもかけ離れたものでした。
この動画では、彼らの最初の展覧会を「批判」した有名な批評文から始まって、主題やモチーフ、様式や技法、そして展示方法が、それまでの西洋絵画の常識と比較して、いかに革新的なものであったかを知ることができます。
モネやピサロだけでなく、ルノワールにセザンヌ、カイユボットと、印象派のそうそうたる画家たちの作品がスライドで楽しめるのも見所です!
朝に、昼に、夕暮れに、夜に… 彼ら見たのと同じ空の光の変化を楽しみながら、価値観が変わる時代というものに思いを馳せてみるのもいいかもしれません。
(Lateolabrax)
スタッフおすすめ③:寺谷 広司「国際社会における悪と法」――2015年度 東京大学公開講座「悪」
日々の生活の中で、「悪」らしきものに遭遇したり、自分の思考や行動に「悪」らしきものを感じたりすることは多いですよね。
世界から「悪」がなくなればいいのに、と思うこともありますが、そもそも何が「悪」であるかを定義するのは難しく、また私たちの心に「悪」らしきものが潜んでいる限り、「悪」がなくなることはないのでしょう。…なんだかしょんぼりしてしまいますが、こんな風に一人で感傷的になっていても仕方がないので、東大TVで「悪」について勉強してみました。
この動画では、国家間の戦争や国内でのヘイト・スピーチの事例から、法や政治がどのように「悪」に対処してきたかということを論じています。
この世界から「悪」がなくなることがないのだとしたら、どう対処するのがよりマシなのか、まずは法学や政治学の視点から考えてみましょう。
(スタッフF)
スタッフおすすめ④:ル・クレジオ氏講演会「詩の魅力 Charme de la poesie(日本語字幕)」
内容がなかったり抽象的だったりする文章を「ポエム」と揶揄する場面にしばしば出くわします。
しかし、これはよく考えれば妙な用法です。
というのも、詩(=poem)は、一般的には韻律やリズムを持った言葉の連なりで、歴史的にもフランスのアレクサンドラン、日本の5・7・5・7・7などの数多くの詩形(=規則)が存在するからです。
だから、無秩序で何を言ってるのかよくわからない言葉の連なりを小馬鹿にしたいのなら、せめて韻文の対になる概念である散文(文字通り読めば「散らかった文」)が用いられるべきなのではないでしょうか(もちろんこの文章も散文です)。
ですが、今のところ感傷的なSNSの投稿や政治家の発言を「プローズw」「散文的ワロタ」と言ってあげつらってるところを見かけたことがありません。
これは一体どういうことなんでしょう?
多分、ある意味では、文芸ジャンルとしての「詩」とネットの意味不明文言「ポエム」を切り離して考えているのでしょう。
しかし、どうであれ、こうした言葉遣いは詩に対する無理解が背景にあるように思えてなりません。
たしかに、詩と聞くとちょっと身構えしまったり、浮世離れした印象をうけてしまいがちです。
ですが、詩は決して私たちの暮らしに無縁なものではないのです。
歌に乗せた言葉の連なりだって立派な詩だと言えますし、散文は歩行で詩は舞踏であるというヴァレリーの有名な比喩を思い出しても良いかもしれません。
あるいはこの動画を見てみるのも一手です。
詩人ではなく小説家の立場から語られる「詩の魅力」は、多くの人を頷かせる説得力を秘めています。
正しく詩に対して「ポエム」と言えるようになるために、ちょっと詩を身近なものにする夏というのも悪くありませんね。
(ありあぽこてん)
スタッフおすすめ⑤:松木 則夫「妄想・幻覚と想像力―薬との接点」――東京大学公開講座「想像力」
英字ニュースをザッピングすると”Corona Paradox”という文字をチラホラ見かけるようになりました。
パラドックスと聞くとみなさんは何を思い浮かべますか。
例えばウサギとカメ(Zeno’s Paradoxes)、例えば映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で有名な親殺しのパラドックス(Time Paradox)、例えばソロー・パラドックス(Solow Computer Paradox)。
私の場合は、過去に救急治療で投与された麻酔薬・ケタミンの副反応を思い浮かべます。
ケタミンはとんでもない悪夢を見ることでも知られており、数年経った今でもあのときにいた光景や感覚、「現世」に戻ってきたときの言葉にならない「これじゃない感」は半端ないものでした。
さて、ニューノーマルです。
新型コロナウイルスの影響で唐突に始まった在宅勤務とその長期化で、たまの出勤では「現世」に戻ってきたときのような眩暈を感じます。
そんなこんなを思い出しながら、この講義動画をおすすめします。
ニュースでは”Corona Paradox”とともに”COVID-19 Paradigm Shift”という文字も増えた気がします。
在宅勤務を継続できる諸兄姉各位におかれましては、評価者にソロー・パラドックスなどと指摘されることのないよう、想像力を鍛えてパラダイム・シフトにしっかり乗っていきましょう。
(inabaure)
まだまだ、このほかにも東大TVにはおすすめしたい動画がたくさんあります!
みなさんも興味のある分野やイベント、キーワードからサイトを検索して、自分だけのおすすめ動画を探してみてください!