特集:作家と学者とエトセトラ
2018/10/04

猛暑の季節も去り、すっかり秋めいてきましたね。
秋といえば芸術に、行楽に、スポーツに…… 

そしてなんといってもそう、読書ですね!!

というわけで今回の特集では、著名な作家の講演や文学研究者の講義動画など、見ればもっと読書が楽しくなる動画をセレクトしました。

作家の言葉と研究者の言葉、両方聞いて本を開けば、今までとはまた違う読み方ができるかも?



■2012年ホームカミングデイ 文学部企画 古井由吉「翻訳と創作と」


ブロッホやムジールの訳業でも知られる小説家の古井由吉氏にとって、原文を日本語に置き換える営みは「グレーゾーンに放り出され」「しばし言葉を失う」「言語の宙に迷う」体験だったといいます。
そして、この動画では、自らの創作における「書き直し癖」が「翻訳の仕事をしていたその後遺症」であるとして、翻訳と創作の関係性について講演しています。
本人の声も魅力です。



■公開講座「水」 松浦寿輝「文学と水の形象」


小説や詩において、水という液体はいかに表象されてきたか。
とりわけ川の水のイメージを出発点に、本学名誉教授の松浦寿輝氏が、都市論的な背景を踏まえながら、流れる水や淀む水などが結びついてきた諸テーマについて探究します。
上に紹介した古井由吉氏の『野川』についても積極的に言及がなされています。



■2012年 駒場際公開講座 野村剛史「言文一致体小説の技法」


文法学者である講演者が、二葉亭四迷、坪内逍遥、田山花袋、夏目漱石、三遊亭圓朝、安岡章太郎らの技法を参照しながら、近代小説にとって重要な特徴の一つである「言文一致体」について、黎明期から現在に至るまでの変遷をユーモラスに辿り、その諸相を紐解いてゆきます。



■2009年 ル・クレジオ氏講演会「フィクションという探究」


「書くとは断言ではなく問いかけです。それは自分自身に関して行なう調査です」
2008年ノーベル文学賞を受賞したその翌年に、ル・クレジオ氏を本学に迎え、中地義和氏との対談が行なわれました。
本人による『地上の見知らぬ少年』の朗読や、作家としての自らに影響をおよぼした溝口と小津の映画についても語られます。



■公開講座「ロボット新世紀」 沼野充義「ロボットとSF:文学的想像力は科学に先行する」


アメリカの発明家レイ・カーツワイルによれば、2045年までには人工知能が人間の能力を上回る「技術特異点(シンギュラリティ)」が訪れると言われています。
彼の予測が現実のものとなるかはさておき、これに良く似た事態はすでに今から約100年も前、カレル・チャペックの作品にて予言されており、後のSF小説で繰り返し用いられる設定でもありました。
「文学的想像力は科学に先行する」と標する沼野教授とともに、レムやアシモフを紐解いて、来るべき2045年に想いを馳せてみませんか。



このほかにも、東大TVには作家や文学研究に関する動画がたくさんあります。
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